高校サッカー選手権、実力校が激突する準決勝「4校のキーマン」 (3ページ目)
そのカウンターのカギを握るのは、身長166cmと小柄ながら、アグレッシブなプレーが光るトップ下の加藤貴也(かとう・たかや/3年)だ。
実は当初、加藤は控えのサイドバックだった。それが、大会を目前に控えた昨年12月、急きょトップ下に抜擢された。河﨑監督がその理由を語る。
「練習試合を消化する中で、大橋がボールを持っても、(パスの受け手がいなくて)パスを出せない状況だった。それでは、さすがに選手権では戦えない。そこで、ボールを奪われたときに守備ができて、ショートカウンターにも対応できる選手を探した結果、加藤の存在が目にとまった」
この抜擢は見事にはまった。加藤は、自分たちのボールになった瞬間、素早くスペースに走り込み、パスを受ければスピードとアジリティーを生かしたドリブルで相手DF陣を翻弄。停滞していた攻撃が一気に活性化した。
選手権本番でも、初戦の玉野光南(岡山県)戦では加藤が決勝ゴールをマーク。他の各試合でも、攻撃に限らず、前線から激しくチェイスして相手のパスコースを限定、後方の味方の守備を手助けしている。「動くのが得意」という加藤にとっても、トップ下はうってつけのポジションだったのだ。
試合は、東福岡がボールを保持する時間が長くなるだろう。しかしそれは、決して東福岡有利という状況ではない。高い位置で星稜がボールを奪って、加藤につながるシーンが増えれば、勝負の行方はどちらに転ぶかわからない。
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