もう一つの高校サッカー「ニューバランスカップ」は流経大柏が優勝 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada masaki

 各校ともまだまだチームが固まっておらず、多くの選手を起用し、様々な組み合わせを試している段階である。大会ルールも1試合5名までの選手交代が認められ、また退場者が出た場合にも控え選手を補充することができるなど、あくまで強化を図ることを目的としていることが分かる。

 静学の齊藤興龍(おきたつ)コーチは、決勝では敗れたものの「選手たちは(高校選手権予選で敗退した後)切り替えて、自分たちの代になったということで張り切ってやっている」と笑みをこぼし、こう語る。

「今 はいろいろな経験をさせて、徐々に力をつけていく段階。この大会でいろいろなチームと対戦できたことはよかったし、いい刺激になった。球際の強さや攻守の 切り替えは意識してやってはいるが、まだまだ足りない。選手たちも特に守備の部分でそれを肌で感じたと思うし、自分たちが力をつけるためにこの経験が生きてくると思う」

 齊藤コーチの言葉通り、高校生にとって今はまだまだ力を蓄えていかなければいけない時期。ひ弱だったチームや選手が夏を境に急激に伸びた、などというのはユース年代ではよく聞かれる話だが、彼らは夏になって急に何かをしたから成長したわけではない。冬のこの時期、こうしたいろいろな経験を積んでおくことが重要なのだろう。

 それは優勝した流経大柏にとっても変わることはない。

 チームを率いる本田裕一郎監督は「(新チームの)スタートとしてはよかったのではないか」と選手たちを称え、「勝つことや戦うことの楽しさを覚えるには絶好の舞台だった」と話す。

 高いレベルの試合を数多く経験し、いかにそこで勝つことが難しいかを知り、難しさの分だけ勝ったときの喜びがどれだけ大きいかを知る。緊張感のある試合のなかでも、1点を取るごとに喜びを爆発させる赤いユニフォームの選手たちが、指揮官の言葉を裏づけていた。

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