高校サッカー選手権で光った3校に見る「個人技と球際の強さ」

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 もちろん、大会日程などの影響はあるだろう。1回戦から準々決勝まで、6日間で4試合を戦わなければならないとなれば、当然、消耗の激しい戦いは続けられない。

 それでも、総じて個人技術に意識が偏りすぎている面があるのは確かだろう。ただ相手ボールに寄せたり、攻撃を遅らせたりするだけでなく、しっかりとボールを奪いに行く。そうした強さは、もっと大会全体に見られてもいい要素だ。

 例えば、今大会で初のベスト8に進出した駒澤大高(東京)などは、コンパクトな布陣の中で攻守の切り替えを早くし、ボールを失っても素早くボールを奪い返すことができるチームだった。プレスバックが早く、しっかりと体をぶつけてボールを奪い切る。ともすれば、“軽い”チームが多い昨今の高校生年代にあって、力強さを感じさせてくれた。

 こうしたチームが増えていくことは、球際での強さを身につけるという意味で歓迎すべきことであるのはもちろん、結果として、それをかいくぐるための技術的な部分を伸ばすことにもつながる。ここに挙げたふたつの要素は、いわば表裏一体。互いに高次元で繰り広げられてこそ、高校年代の強化となるはずである。

 48校がしのぎを削った今大会も、残すところ3試合のみ。覇権の行方は4校に絞られた。

 準決勝は1月9日、決勝は11日、いずれも埼玉スタジアムで行なわれる。

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