また優勝ならず。浦和がタイトルを獲得するためのラストピースは何か (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「(チャンスで)決めるか、決めないかが、ずっと課題になっている。結局はゴール前の部分。あっち(ガンバ)はパトリック選手がいて、決める選手がいる。こっち(浦和)には試合を勝たせるまでの前の選手がいない」

 決して簡単ではないシュートチャンスを、最終的に仕留めてくれる選手がいるかどうか。

 準々決勝と準決勝ではFW宇佐美貴史が2ゴール、決勝ではFWパトリックが2ゴールを決め、頂点にたどり着いたガンバとは対照的に、確固たるフィニッシャーの不在が、浦和からタイトルを遠ざける大きな要因となっているのは間違いない。

 それは決して今回の天皇杯だけに限った話ではない。今季J1でのリーグ戦を振り返っても、さらに言えば昨季以前にさかのぼっても言えることだ。

 今季J1での得点ランクを見ると、浦和では武藤の13ゴール(J1全体で6位)がチーム最多。これにFW興梠慎三が12ゴール、MF梅崎司とFWズラタンが8ゴールで続いている。

 得点者が分散している様子は、よく言えば「どこからでも点が取れる」が、悪く言えば「これといったフィニッシャーがいない」という、浦和の現状を物語る。どこからでも点が取れるチームは、本当に苦しいときにどうやって点を取ればいいかが分からなくなる。

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