また優勝ならず。浦和がタイトルを獲得するためのラストピースは何か (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 MF阿部勇樹、青木拓矢のダブルボランチがともにDFラインに落ちてビルドアップするやり方は、一見後傾姿勢にも見えたが、その分3バックを攻撃的にプレーさせ、前線に厚みを加えた。中盤でのつなぎにも参加しながら、何度もゴール前へ進出していった那須が言う。

「陽介は前に出て(攻撃に)絡めるが、青木は後ろでバランスを取るタイプ。選手によってやり方は変わっても、チャンスは作れたと思う」

 浦和がいつもとは違うやり方を採ったのは確かだが、それによって大きくチャンスの数を減らしたわけではない。ガンバの9本に対して、浦和が20本にも達したシュート数にもそれは表れている。柏木不在に敗因を求めるのは、いかにも見た目に分かりやすいが、むしろ理由は他にある。

 やはり、両者の明暗を分けたのは決定力。那須が「チャンスが多いだけに、決められないもどかしさを感じる」と振り返ったように、決めるべきところで決められるかどうか、が勝敗のカギだった。

 ポイントとなるのは、浦和が作り出したチャンスの内容だ。

 この日の浦和には、クロスにヘディングで合わせるようなシュートシーンが数多く見られはしたが、目をつぶっても決められるような、完全に相手ディフェンスを崩し切った決定機はほとんどなかった。

 つまり、そのなかでゴールを決めようと思えば、シュートを打つ選手、すなわちフィニッシャーの個人能力が必要とされる。MF武藤雄樹は、自戒を込めて語る。

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