名波浩監督が明かす、ジュビロを救った「奇跡のゴール」秘話 (6ページ目)

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

名波 多いんですよ。でも、福田さんは代表のとき、全然食事に連れて行ってくれなかったね。井原さん(正巳/現アビスパ福岡監督)は、よく連れていってくれたんだけどなぁ~(笑)。

福田 だから、井原は今、成功しているんだよ!

名波 福田さんも成功しているじゃないですか!

福田 してないよ!って、いいんだよ、オレの話は(笑)。とにかく、改めて振り返ってみて、J1昇格を果たせた最大の要因は何だと思う?

名波 月並みですが、仲間意識が生まれて、チームが同じ方向を向いていた。そして、ファンやサポーター、フロント、現場スタッフと選手、それら三位一体になってやっていけたのが大きかったと思います。あとは終盤、大宮アルディージャ、福岡と三つ巴になって、互いに刺激し合ったことで、それがまたいいモチベーションになった。

福田 最終的には、昨季の悔しい経験も生きていたんじゃない?

名波 最終戦、残り1分で生きていましたね。同点にされても、選手誰もがピッチ上にひれ伏すことなく、すぐにボールを取りに行って、みんなが前向きになっていましたから。実は、昨季も(山形の)GK山岸にゴールを決められたあと、まだ時間があって、1チャンス、2チャンスは作れていたと思うんですよ。でも昨季は、そういう雰囲気が作れなかった。

福田 名波監督自身はどうなの?

名波 昨季は確かにボーッとしていましたね。交代枠を使い切って、ベンチワークとしてはやることがなかったんですが、選手への声かけや、いろいろな指示を与えることができたはずなんです。でも、ゴールを決められて、30秒くらいはボーッとしていた。それが、今季は頭の中もクリアでしたから、あの経験は生かされていたんでしょうね。

(つづく)

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