来季のためにも天皇杯を。無冠の浦和・ペトロビッチ監督が燃やす執念 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「自分たちがやってきたことが間違いではないと認めてもらうために、天皇杯を戦っている。J1の年間優勝は逃したが、天皇杯を取って、いい形で今季を締めくくりたい」

 2012年に浦和にやってきて以来、ペトロビッチ監督は優勝に近づきこそすれ、主要タイトルをもたらすことができていない。さすがにこれだけタイトルを逃し続ければ、指揮官が優勝にこだわりを見せるのも当然だろう。

 それは選手にとっても同じことだ。FW興梠慎三は言う。

「ここまで来たら優勝しかない。これまで大事なところで負けてきた。今回こそはものにしたい」

 もちろん、浦和にとって国内の最重要タイトルはリーグ優勝である。それを逃した今、天皇杯を獲得したからといって、すべての悔しさが吹き飛ぶわけではない。

 それでも、ここでタイトルをひとつ取り、2007年のAFCチャンピオンズリーグ制覇を最後に7シーズン続いている無冠状態に終止符を打てるかどうかは、来季へ向かうにあたって、大きな違いが生まれるに違いない。

「選手たちは最後まで強い気持ちを持って戦ってくれた。彼らには我慢して試合を進めれば勝利できるという自信があり、その自信が落ち着きにつながった」

 柏戦後、ペトロビッチ監督はそう語り、延長戦まで戦い抜いた選手を称えていたが、ここで天皇杯を掲げることができれば、選手たちにはさらなる自信と落ち着きが生まれるはずである。

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