反省が前提です。サガン鳥栖・豊田陽平が語る今シーズンの裏側 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 田村翔/アフロスポーツ●写真

 日本人Jリーガー屈指の肉体的ポテンシャルを持つ男は、その強い意志によって、怪我からの早期回復に励んだ。8月には復帰を果たすが、その直後の練習中だった。今度は右足首を捻挫してしまう。

「結構、身体が切れている感覚があって、動けていました。練習でシュートを決めて、次は守備と切り替えたところ、ラストプレーだったと思います。相手から出てきたボールに反射的に足が出たんですが、球足が思っていたよりも強くて、ボールに足がそのままもっていかれてしまって。怪我をして身体のバランスが崩れていたからなんですかね? そんな経験は初めてでした」

 豊田はもどかしさを思い出したのか、苦渋の表情を浮かべる。それからしばらくは、足かせを付けたままのようなプレーとなった。もも裏の違和感は消えていったが、試合に出られない時間が増えた。試合勘が鈍ることは避けられなかった。

「森下(仁志)監督は最初、『無理しなくていいから』と気を遣ってくれていました。ただ、その後で出場時間が増えなかったのは、自分が出られなかった、というだけのこと。チームが残留争いに巻き込まれたこともあって、走れる選手の方がよかったのかもしれません。“怪我をすると使われないんだな”としみじみ思いました。まずは信頼を取り戻す必要があったんですが、試合に出られなくて調子が落ちる経験はこれまでなくて。まさかの、という感じでしたね」

 当惑を覚えつつも、彼は辛抱強くプレーを磨き続けた。

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