名将への階段を昇るサンフレッチェ・森保一監督のマネジメント術

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 それを可能にしたのは、森保監督の大胆な選手起用もさることながら、選手自身が高い意識で日ごろの練習に取り組み、いつ出番が巡ってきてもいいように準備ができていたからに違いない。

 MF柏好文は「(森保監督が)フレッシュな選手を使うという意識はチーム内で統一されていた」と語る。これこそ、チームマネジメントのうまさ。なるほど長谷川監督が感心するのも納得である。

 現在、Jリーグでは、日本代表が初出場した1998年のワールドカップ・フランス大会を(あるいは、その5年前の“ドーハの悲劇”も含めて)選手として経験した40代の監督が増え、しかも実績を上げている。

 今季、J2では井原正巳監督がアビスパ福岡を、名波浩監督がジュビロ磐田をJ1昇格に導き、J3では相馬直樹監督が町田ゼルビアをJ2昇格に導いた。

 外国人監督に頼らずとも、チームを強化することはできる。そんな優れた日本人監督が確実に増えているなか、現在47歳の森保監督は、いわば新世代の日本人監督を引っ張る存在でもあるのだ。

 2015Jリーグアウォーズで最優秀監督賞を受けた森保監督は、これが3回目。同賞の3度受賞はオズワルド・オリヴェイラ監督(鹿島アントラーズ/2007~2009年)と並ぶ最多タイであり、もちろん日本人監督としては最多受賞記録である。

 記録のうえでは、早くもJリーグ史に残る名将となった森保監督。同世代の監督をリードするばかりでなく、今後新たに監督を目指す若い世代にとっても大きな目標となりうる指揮官である。

Jリーグ記事一覧>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る