プロ19年。アビスパ古賀正紘が語る「現役引退を決意した瞬間」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by YUTAKA/AFLO

 古賀正紘は「超高校級ディフェンダー」としてJリーグ12クラブからオファーを受け、97年に名古屋グランパスに入団した。185cmの巨躯を生かしたヘディングと鋭いインターセプトを武器に、1年目にしてプロデビュー。2年目でレギュラーを奪い、天皇杯優勝を経験。プロ5年目にはフィリップ・トルシエ率いた代表候補に選出され、シドニー世代の一人として大いに才能が注目された。

 その後、代表での活躍こそなかったものの、07年に名古屋から柏レイソルに移籍し、終盤まで優勝争いを演じている。09年までにJ1で300試合以上に出場。「無事是名馬」と言おうか、ピッチに立ち続けてきた。2010年に柏からジュビロ磐田に移籍すると、同年にナビスコカップ優勝に貢献。2012年にはJ1クラブからのオファーを断り、故郷である福岡に戻ることを決意し、J2アビスパ福岡と4年契約を結んだ。

「自分はずっとJ1のクラブでやってきて、漠然とですが、培ってきた経験を福岡に還元したいと思っていました。そして自分自身はJ2に染まらず、高い意識でやっていこうと」

 しかし、厳しい状況が待っていた。

「結果としてなにひとつ残せなかったと思いますし、環境に流されてしまったのなら、それは自分の弱さでしょうね。福岡には申し訳なさで一杯です」

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る