前年16位アビスパ福岡をJ1へ。選手も感服する「井原イズム」 (5ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 はたして指揮官の見立てに狂いはなかった。就任1年目の新米監督ながら、選手として数々の修羅場をくぐってきた経験を持つ井原監督のもと、選手は1戦ごとに自信をつけ、最後の最後で目標とするJ1昇格をつかみ取った。

 とはいえ、喜んでばかりもいられない。近年のJ1を振り返ると、プレーオフを勝ち上がって昇格したクラブは、ひとつの例外もなく、すべて1年でJ2へ逆戻りしているからだ。

 キャプテンの城後寿が「こうやって目標が達成できてうれしいが、本当の戦いはこれから」と語ったように、来季は今季以上に厳しい戦いが待っている。中村北もまた、時折厳しい表情を浮かべ、口を開く。

「まだスタートラインに立っただけ。J2ではこうすれば勝てるというスタイルができてきたが、それがJ1で(通用するか)どうか。来季は(J1に)残留することが一番大事なこと。すぐに落ちるくらいなら上がった意味がない。J1に定着することを第一に、上(の順位)を目指してやっていきたい」

 前回J1に昇格した2011年シーズンは17位に終わり、1年でのJ2再降格という憂き目に遭った福岡。それだけに、今度こそJ1残留との思いは強い。

 J1昇格プレーオフでひとつめのジンクスを打ち破った勢いを駆り、来季のJ1では次なるジンクスの打破に挑む。

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