前年16位アビスパ福岡をJ1へ。選手も感服する「井原イズム」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 2012年からスタートしたJ1昇格プレーオフは、これまで番狂わせが当たり前だった。過去3度行なわれ、J1昇格の最後の1枠に滑り込んだクラブの順位は6位、4位、6位。3位クラブはプレーオフで勝てない。いつしか、そんなジンクスがささやかれるようにもなっていた。

 だが、プレーオフ開催4度目にして、初めて3位クラブがJ1昇格を果たした。J2が22クラブで行なわれるようになって以降、3位クラブとして過去最多の勝ち点82を積み重ね、自動昇格圏内の2位ジュビロ磐田と同勝ち点まで迫った“史上最強の3位クラブ”が見事にジンクスを打ち破った。

「3位(のクラブ)が上がっていなかったので、(J1昇格を)達成できてよかった」

 中村北はそう言って笑顔を見せた。

 この試合、地力に勝っていたのはセレッソのほうだったかもしれない。いくつかあった追加点のチャンスを生かしていれば、その時点で勝負は決していた可能性が高い。だが、シーズン開幕前のJ1昇格大本命はどこかちぐはぐな戦いに終始し、充実した戦力を生かし切れなかった今季を象徴するかのように、最後まで勝ち切れなかった。

 対照的に福岡は、開幕前には決して昇格候補と目される存在ではなかったが、試合を重ねるごとに強さを増し、着実にJ1昇格への階段を上がっていった。井原監督は言う。

「(福岡は)昨年16位のチーム。(シーズン前に)J1昇格を目標に掲げて、何を言っているんだと思われた人もいたかもしれないが、選手の質を考えても昇格のポテンシャルはあると思っていた」

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