「人生ぶつかるJ3」の町田ゼルビア、心の消耗戦に勝ってJ2へ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan Sport /AFLO

 町田の相馬直樹監督はそう述懐している。

「高い位置でツートップにポイントを作られ、セカンドボールを拾われる展開が続きました。長いボールを使ってくることは予測していたんですが、高松、エヴァンドロのパワフルさにラインを下げられてしまった。最終ラインとの間に空いた1m、2mを使われてしまいましたね」

 前半、町田は完全に受け身に回っていた。"負けなければいい"という消極的心理は、"勝って活路を開く"という積極的心理に、太刀打ちできない。町田は鈴木崇文から鈴木孝司のホットラインで、大分の気勢を削いだ。あるいは重松健太郎が右に流れ、ボールをキープしながらCKを取るなど、わずかに流れを引き戻した。しかしその程度が精一杯で、ホームの歓声を味方にした大分の攻撃を耐え忍ぶしかなかった。

 そして前半35分、町田は猛攻に耐えきれずにPKを与えてしまう。1-0での負けは敗北を意味する。残り時間は豊富にあったが、攻めに転じるにはエネルギーが要るし、大分が一気呵成になる可能性もあった。しかし、GK高原寿康が高松大樹の蹴ったPKをストップ。これで潮目は町田のものになった。

「0-0でハーフタイムに入れたのが大きいですね。不運にもPKを与えたとき、高原が止めてくれた。これが大きな流れになった」(相馬監督)

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