毎年主力が抜けても、なぜサンフレッチェは3度も優勝できたのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「うちでタイトルを獲りたいと思って移籍してきた選手や、若手の選手がこのチャンピオンシップでも活躍した。2連覇したときのメンバーではない、そういう選手が活躍して優勝したことに意味がある」

 今季チーム最多ゴール(21点)を決めたMFドウグラス。CS第1戦で起死回生の同点ゴールを決めたDF佐々木翔。同じく決勝ゴールを叩き込んだMF柏好文。CS第2戦の同点ゴールで勝負を決定づけた浅野。いずれも2連覇時には在籍していなかった、あるいはほとんど試合には出場していなかった選手たちばかりだ。

 もちろん、新たに加わった選手がチームに適応するのは簡単なことではない。

 広島はJリーグ随一と言ってもいいほど、攻撃時は徹底してDFラインからパスをつなぐポゼッションサッカーを志向する。その中で、変則3トップとでも言うべき“1トップ2シャドー”に、両アウトサイドMFも絡んで分厚い攻撃を生み出すわけだが、そのコンビネーションは一朝一夕に確立できるものではない。2シャドーのレギュラーだったふたり(高萩、石原)を失ったところからのスタートとなった今季を、森保一監督は「あうんの呼吸(で連携できるようになること)が難しいのはわかっているが、クオリティーを上げるためにみんなでトライしてきた」と振り返る。

 例えば、チーム得点王のドウグラス。今季はじめの移籍加入当初は、「新しく入った選手は誰でもうちのコンビネーションに合わせるは難しい。ドグ(ドウグラス)もかなり苦労していた」と森﨑和は言う。それでも、「ドグが努力しているのはわかっていたし、活躍してほしいと思っていた。徐々に馴染んできて、こうやって彼が結果を出したことは自分もうれしい」と表情を崩す。

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