毎年主力が抜けても、なぜサンフレッチェは3度も優勝できたのか

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「厳しいシーズンだったが、全員で戦ってきたからこそ、勝ち得た3つ目の星。(2年前の)2連覇のときとは違うチームになり、チームが変化している中で優勝を勝ち取ることができた。また違う意味合いを持つタイトルだと思う」

 長年チームを引っ張ってきたエースストライカーのFW佐藤寿人がそう語ったように、広島は3度の優勝を成し遂げる間にかなりの選手が入れ替わった。

 2012、2013年の優勝時にはDF森脇良太、GK西川周作が、昨季オフにもMFの高萩洋次郎、石原直樹が移籍によってクラブを離れた。こうして毎年のようにレギュラークラスの選手が抜けていくことは、当然かなりの戦力ダウンとなる。

 一昨季まで2連覇しながら昨季は8位に沈み、しかも主力選手が流出したことで、今季開幕前には「下手をしたら、残留争いに加わることもありうるという危機感を持っていた」と、MF森﨑和幸は明かす。

 しかし、広島はこうした逆境をことごとく乗り越えてきた。主力が抜けたことでの戦力ダウンを感じさせないどころか、むしろチーム力のアップにつなげる強さがあった。そこにこそ、広島が4年で3度の優勝を成し遂げた、驚異的な強さの秘密がある。

 広島は従来の主力がクラブを離れていく一方で、自分たちが志向するサッカーに適性の高い選手を移籍によって獲得、あるいは生え抜きの若手を育成することによって、確実に彼らを戦力として加えてきた。森﨑和は言う。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る