2度のミスに奮起。広島の逆転劇を生んだ森﨑和幸の「頭脳プレー」 (2ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「2失点目は、コンちゃん(今野)が微妙なポジションを取っていて、自分のマークだったのに、シュートを打たせてしまった。1失点目といい、2失点目といい、チームメイトに迷惑をかけてしまった。どこかでそのミスを取り返したいという気持ちはありました」

 その悔恨と奮起の念が、試合終了間際に決まったMF柏好文の逆転弾を導くプレーにつながった。

 アディショナルタイムに入って1分、佐々木のゴールで同点とした5分後、広島から見て左サイドでボールがタッチラインを割った。そこで、ガンバの今野が素早くボールを拾って、スローインを投げようとしていた。

「ガンバは、ひとり退場者を出したこともあり、前線にはFWパトリックだけが残っていた。だから、スローインの瞬間、そこに投げてくるだろうなって感じたので、わざとスペースを空けたんです」

 そして実際、今野は"そこ"にスローインを投げた。森﨑和が"そこ"に投げるように誘ったスペースに、だ。

 瞬間、森﨑和は猛然とダッシュしてボールを奪い、MF青山敏弘につないだ。森﨑和はそのまま駆け上がって、青山からリターンをもらうと、オーバーラップしてきた左サイドのMF山岸智にパス。山岸はそのボールをダイレクトでゴール前に配球し、ドウグラス、FW浅野拓磨と立て続けにシュートを放ち、最後はDFに当たったこぼれ球を柏が豪快に押し込んだ。

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