「J1に戻りたい」山口蛍が率いるセレッソ大阪に勝機はあるか (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

 ところが、リーグ戦が始まってみると、なかなか波に乗れず、思うように勝ち点を伸ばせない。自然とJ1自動昇格圏内(2位以上)は遠のいた。前評判を考えれば、4位フィニッシュはまさかの結果だった。

 そんなセレッソが決勝で対戦するのは、セレッソとはまったく逆の意味でまさかの結果を残したアビスパ福岡である。

 福岡は、2011年にJ1で17位となってJ2に降格して以来、J2での3シーズンの順位は、18、14、16位。昇格争いとはまったくの無縁だった。

 ところが、シーズンが進むにつれ、徐々に順位を上げていった福岡はセレッソを抜き去り、ついにはJ1自動昇格圏内の2位ジュビロ磐田と同勝ち点でフィニッシュした。

 リーグ戦の最後を8連勝で締めくくった勢いそのままに、J1昇格プレーオフ準決勝でも、V・ファーレン長崎を1-0と手堅く仕留めた。勢いという点では、福岡に分があるのは明らかだ。

 しかも、準決勝ではセレッソは引き分けでも勝ち上がれたが、決勝では立場が変わる。リーグ戦3位の福岡に対し、4位のセレッソは勝つ以外にJ1昇格を果たす術がない。セレッソ・大熊清監督は「(準決勝とは)まったく違うシチュエーションの試合になる」と言い、こう語る。

「(準決勝は引き分け狙いではなく)勝ちにこだわった。それでも、この試合ではバランスを崩してまで(得点を)取りにいっていない。決勝では、バランスを崩してでも取りにいかなければいけなくなるかもしれない」

 そして指揮官は、相手の福岡を「カウンターが得意」と認め、「勇気が求められる試合になる」と話した。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る