「J2史上最強の3位」アビスパ福岡が挑む、昇格プレーオフの呪い

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Kaz Photography/Getty Images

 最後の直線、逃げるジュビロ磐田を追って鋭く末脚を伸ばすも、わずか鼻差届かず――。

 アビスパ福岡の今季の戦いを競馬に例えるなら、そんなところだろう。

 開幕3連敗とスタートこそ出遅れたものの、最後は8連勝でフィニッシュ。"末脚のキレ"では、J1自動昇格を果たした1位の大宮アルディージャ、2位の磐田を明らかに上回っていた。リーグ戦があと2、3節残っていたら、結果はどうなっていたかわからない。それほどに福岡が見せた終盤の追い込みは鋭かった。

 J2最終節(第42節)のFC岐阜戦でも、1点を先制したあとにリズムを失い、一度は同点に追いつかれたものの、きっちりと勝ち越し。さらに追加点を重ねて4-1で勝利した。キャプテンのFW城後寿は「追いつかれても前を向いて戦えるのが今のチームの強み」と胸を張る。

最終戦のFC岐阜戦も快勝したアビスパ福岡。プレーオフでJ1昇格を狙う最終戦のFC岐阜戦も快勝したアビスパ福岡。プレーオフでJ1昇格を狙う 実はこの試合中、一度は奇跡が起きかけている。同時刻に大分トリニータと対戦していた磐田が、試合終盤に1-1の同点に追いつかれ、そのまま終われば福岡の逆転昇格となっていたのだ。途中経過を知らされていたピッチ上の選手たちも、「1-1になったと聞いて、ちょっと期待した」(DF濱田水輝)。だが、結局は磐田がロスタイムに再度勝ち越して劇的勝利。福岡の自動昇格はならなかった。

 それでも、福岡の選手たちに落ち込む様子はまったく見られなかった。それどころか、目の前の試合にしっかりと勝利できたこと、そしてリーグ戦を8連勝で終われたことに、むしろ誇らしげでさえあった。城後が言う。

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