ジュビロ磐田をJ1復帰させた「名波イズム」と「3つの約束」 (4ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • photo by Nikkan sports

 昨年には、選手からほとんど発せられたことのなかった「諦めない」というフレーズ。チーム内に“名波イズム”は確実に染み渡っていた。結果、昨年は一度もなかった逆転劇が、今季は7度も演じられた。

 明るさ、強さ、試合に取り組む姿勢……など、戦う集団として効果的な要素を取り入れて、昨年よりも格段にチーム力がアップしたジュビロ。シーズン終盤にはアビスパ福岡の猛追を受けて、最終節には勝ち点差なしという状況にまで迫られたが、そのしびれるような境遇にあっても、名波監督が掲げた“3つの約束事”を選手たちがしっかりと実践して乗り切った。

 大分に土壇場で追いつかれたあと、選手たちはまったく諦めていなかった。誰もがすぐに気持ちを切り替えて、全員で勝ち越しゴールを狙いにいった。その姿を目の当たりにしたときには、名波監督も感動を覚えたという。

「(最後は)選手たちの成長と頼もしさを感じた。3つの約束事が果たせた、集大成の試合だった」

 いよいよ来季は、J1の舞台に挑む。名波監督は、J1の18チームとJ2覇者の大宮アルディージャに続いて「ウチはまだ、J1リーグでは20位のチーム」と自重気味に話したが、J2の戦いの中でもJ1で戦えるチーム作りを目指してきた。

 わずか1年で、チーム力を格段に高めて、チームカラーさえもガラッと変えた手腕をもってすれば、再びJ1で上位を争えるチームを築いてくれるはずだ。ジュビロが新たな黄金期を迎える瞬間を、多くのファンが待っている。

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