CS出場逃したFC東京。「ウノゼロ」サッカーの進化と限界 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 田村翔/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

「鳥栖としては、勝っても順位は変わらなかったんです。でも、試合前から意地もあって、『東京を苦しめてやろう』という雰囲気になっていました。気持ちを出して試合に入れていましたね。太田宏介のところはしっかりとケアしようと話していました。きれいにはクロスを入れさせないというか、あそこから入ると危険なんで、(吉田)豊が頑張って付いていましたね」

 東京はマッシモ・フィッカデンティ監督の掲げる「ウノゼロ」(1-0の勝利)を代名詞に、今シーズン、上位を争ってきた。ウノゼロでの勝利は8回。その効率の良さは特筆に値し、例えば得失点差で1点多い横浜F・マリノスよりも勝ち点で8ポイントも多く稼いでいる。

「いつものように試合に入れて、気負いとかはなかったと思います。でも、いつも通り過ぎたのかもしれません」

 そう振り返ったのは、東京の橋本拳人だ。リーグ終盤は右ボランチ、右MFで先発に定着し、この日も70分までプレー。22歳のルーキーは結果に当惑しながら、誠実に言葉を探した。

「どこかで1点が奪えたら良かったんですが......。自分自身は、鳥栖があそこまで退いてくるとは想像していませんでした。クロスに入るのにもスペースがなかったので、どうすればいいのか、と模索し続けていました。鳥栖は球際とか、プレーの強度も高かったです」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る