ガンバを粉砕。大一番で見えたサンフレッチェ広島「強さの秘密」 (2ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • photo by Kaz Photography/Getty Images

 そうしてゲームを支配し始めた広島が、先制ゴールを奪ったのは後半10分。ペナルティーエリア手前でFKを得ると、ドウグラスが直接決めた。

 以降、巻き返しを図るガンバも前がかりになって攻め込んできたが、広島は持ち前の守備力でその攻撃を封鎖。反対に終了間際の後半44分、少ないチャンスから追加点を挙げて試合を決定づけた。細かいパス交換から、最後は右サイドのスペースに走り込んできた清水が豪快に右足を振り抜いてネットを揺らした。

 チャンスは両チームにあった。だが、決めるべきところを決めたのが広島だった。森保監督が語る。

「勝因は、どちらにも決定機があった中で、我々のほうがビッグチャンスをしっかり決めた、ということ。それと、全員で体を張って相手の攻撃を防いで失点をゼロに抑えた。それが、結果につながった」

 堅実な守備に関しては、2点目を決めた清水がこんな話をしていた。

「守備の時間が長いときも、押し込まれているという感じはなく、(こちらが)チャンスをうかがっているという感覚でプレーできている。自分たちでうまく守れているという意識があるから、攻撃に転じるときは思い切って飛び出していける。どこかで必ずチャンスが来る、という考えをチームとして共有できているんです」

 たとえ相手に押し込まれていても、広島の選手たちは劣勢にあるとはまったく考えていない。逆に、守りながら攻撃の準備をしているというのだ。要するに、それだけ守備には絶対の自信を持っているわけだが、そこに今季の広島の強さであり、安定感がある。

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