J1昇格プレーオフ「逃れたい」「入りたい」2つの名門が激突

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

 前半24分、ヴェルディは南秀仁がドリブルから絶妙の間合いで高木大輔にスルーパス。高木のシュートは一度GKにブロックされるも、エリア内で再度シュートを放ち、ジュビロのDFのハンドを誘う。これでPKを得た(相手DFは退場)ヴェルディに勝機が巡ってきたはずだったが―――。南のPKは防がれてしまう。

「PKはキッカーの方がプレッシャーがかかる。僕はそういう状況を得意としている。もしあれを止められなかったら……僕らは苦しんでいたかもしれないね」

 ジュビロのGKカミンスキーの言葉通り、前半のジュビロはペースをつかめていなかった。41分には、20得点(J2得点ランク1位)のFWジェイがふくらはぎの違和感を訴えて交代。ヴェルディのプレスに気圧され、完全に受け身に回り、ボールプレーは捨てたも同然だった。その証拠にゴールキックは無為にロングキックを蹴り込み、ほとんどを敵に明け渡していた。

 しかし皮肉なことに、10人のジュビロが後半から優位に試合を動かし始める。

「ハーフタイムで『下を向くな」と選手には伝えました。10人だろうが9人だろうが、シュートにいかないと点は取れない。むしろ1人少なくなって、求めていた前への推進力が出たかもしれません。選手が勇敢に戦ってくれました」

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