J1昇格プレーオフ「逃れたい」「入りたい」2つの名門が激突 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

 2位ジュビロ、6位ヴェルディの対決は、どちらも一歩も引けない事情を抱えていたのである。

 試合の主導権を握ったのは、ホームのヴェルディだった。サイドハーフの2人が積極的に中央に入り、インサイドハーフのようにプレー。ツートップと近い距離で巧みにコンビネーションを作り出す。空いたタッチラインにはサイドバックが果敢に駆け上がり、攻めを分厚くする。攻撃にテンポがあり、それによって守備のプレッシャーも高い位置からかけることに成功し、ジュビロを押し込んだ。

「自分たちでボールを持つゲームをする、という考えで臨みました。"ボランチの脇を突き、ペナルティエリアに潜り込む"という狙いは実行できていて、実際に点になるチャンスもたくさん作れたと思います」

 ヴェルディの富樫剛一監督は手応えを感じていた。事実、ボールプレーの質は高かった。富樫監督はヴェルディの前身である読売クラブの生え抜きで、94年までヴェルディでプレー。パスワークを中心にチーム運動を旋回させるやり口は、古き良きヴェルディの匂いがした。

 ところが、たった一つのプレーが分岐点になる。

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