J最少失点のFC東京。イタリア人指揮官がかける魔法 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 Text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO SPORTS

「マッシモのおかげで、チーム全体の守備意識が上がっています。“ポジショニングが良くなったな”と思う選手がいるんですけど、それは本人も気づいていない。無意識の成長と言えるかもしれません」

 高橋が証言しているように、チーム全体の進化がウノゼロの現象を生み出している。

 フィッカデンティ監督就任2年目で、戦術は着実に浸透。システムは4-3-1-2、4-4-2、4-1-4-1(4-3-3)、3-5-2と多彩だが、守備理念は変わらない。11人がカバー&チャレンジで同じ意識を持ち、ゾーンに入ってきた敵を殲滅(せんめつ)する。守備の安定を得たことで選手間の距離感が向上、攻撃にも好循環をもたらしつつある。

 論理的に構成されているだけにショートカウンターは鋭く、セカンドステージ第10節のヴィッセル神戸戦は会心の出来だった。1点目は高い位置で米本拓司がボールを奪い、それを高橋秀人がドリブルでカウンターを仕掛け、パスを受けた前田遼一が突き刺した。その間、わずか数秒の出来事だった。2点目も最終ラインから逆サイドへのロングフィードを東慶悟が持ち込み、それを同じく前田が中央で合わせた。3点目も自陣深くから高橋が左サイドの東に長いスルーパスを通し、これをまたも前田が蹴り込んだ。

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