J最少失点のFC東京。イタリア人指揮官がかける魔法 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 Text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO SPORTS

「ザック(ザッケローニ)もそうでしたが、マッシモは"どうやって失点をゼロにするか"という部分で、(自分が経験した監督の中では)最も論理的だと思います」

 東京のMFとして「戦術を司る」高橋秀人は、"イタリアの流儀"について説明している。

「マッシモは練習のときから、"カバーする位置取りながら、なおかつチャレンジにもいける"というポジショニングにすごくこだわりがありますね。俺はこいつしか見ない、というような守備は絶対に許さない。ゾーンディフェンスで、その網目の意識は強く持っています。例えばサイドの選手は、中のコースを切るのが絶対。とにかく中を切って、敵に侵入させず、とりあえずバックパスを出させたらOKというか。ボールにチャレンジしたい、というストレスは少なからずあるんですが、そこは我慢をしながらですね。チームとして徹底的にリスクを回避しているんで」

 東京は伝統的に「攻撃サッカー」の印象が強いが、実は守りに強い選手が多い。ウノゼロが浸透したのは必然だった。

 例えばリオ世代のMF橋本拳人も、ウノゼロで覚醒した選手の一人だろう。1点リードで逃げ切りの場面、(敵攻撃に)"ふたする"クローザー役から台頭。間合いとタイミングに優れ、タコが獲物を絡め取るようにボールを奪える。"どこにいつ入ったら、ボールを奪えるのか"という勘の良さも持ち、それを守備だけでなく、攻撃でも使える。インサイドハーフとしては巧妙にゴール前へ入って得点力も示しており、将来的には日本を代表する守備者になり得る。

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