「今の代表にはいないタイプ」柏木陽介がハリルJを変える (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 現在の浦和の試合を見ていると、柏木が攻撃のテンポを決めていると言っても過言ではない。さながらバスケットボールのポイントガードのごとく、後方でゆっくりとパスをつなぎ、「ここはじっくり攻めるぞ」とメッセージを送ったかと思えば、機を見てワンタッチで縦パスを入れ、「ここから一気にスピードアップして攻め切るぞ」とばかりに攻撃のスイッチを入れる。

 後方で攻撃を組み立てながらも、前線でフィニッシュに絡む。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が期待するのも、まさにそんなプレーである。柏木は「自分がチームを動かすくらいの気持ちでやりたい」と話しているが、まさにそうあるべきだ。

 ともすれば、守備を固める相手に単調な攻撃に終始してしまう現在の日本代表において、チーム全体の「どう攻めるのか」という意思を統一させる。そんな役割が柏木には求められる。岡崎慎司(レスター/イングランド)、本田圭佑(ミラン/イタリア)、香川真司(ドルトムント/ドイツ)ら前線には能力の高いアタッカーがそろっているだけに、攻撃の道筋さえ整理してあげられれば日本代表の得点力はずいぶんと高まるはずだ。

 とはいえ、「とりあえずは(試合に)出られるようにがんばりたい」が本音である。試合に出なければ何も始まらないことは、柏木自身よく理解している。実際、「(ハリルホジッチ監督が)急に入った選手をボランチで使うのは難しいだろう」とも口にする。

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