【育将・今西和男】李漢宰「サンフレッチェ広島で世界観が広がった」 (5ページ目)

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko
  • 織田桂子●写真 photo by Oda Keiko

 ただ、その過程にはサンフレッチェ広島というチームが今西さんの作ったチームで、リ・ドンギュウさんをはじめとする在日の人たちとの関わりが深いチームだったということで、僕をすんなり受け入れてくれたんです。

 それと本当に衝撃的な言葉だったのが、2回目くらいの練習のときに、それも上村さんに言われたんですけど、『お前は日本人に差別されていると思っているかもしれないけど、逆なんだぞ。お前らが壁を作って差別している部分もあるんだぞ』と。その言葉を聞いたとき、衝撃的過ぎて。そんなこと今まで思ったことなかったので。ただ、ドンピシャで間違ってない言葉ですよね。自分たちが知らない間に逆に差別しているところもあるって。そこで僕の世界観が一気に広がった。そういう日本人と朝鮮人のフラットな関係も今西さんとドンギュウさんの出会いからだと思います。今西さんは『俺が今あるのはドンギュウさんがいたからだ』と僕によく話してくれました」

 後にハンジェが北朝鮮代表としてピョンヤンに向かうと、国内で最も権威のあるサッカー解説者として活動するドンギュウと出会う。

「君がハンジェか? 今西から話は聞いている。あいつは本当に下手クソだったが、熱い気持ちを持っていた。だから目をかけたんだ。困ったことがあれば、何でも言ってくれ」と優しく話しかけられた。
(つづく)


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