なぜ日本代表はカンボジアから3点しか奪えなかったのか?

  • photo by Fujita Masato

 所属クラブで求められていないことを日本代表で急に求められても、その試合での意識は変わるかもしれないが、普段から重きを置いていないプレーの技術がすぐに向上することは難しい。実際、カンボジア戦の日本のミドルシュートの精度は高いとはいえず、タイミングの悪いシュートになってしまっていた。

 さらに、海外組は増えているが、守りを固める相手を崩すことが常のバルセロナやバイエルンのようなビッグクラブに所属する日本人選手はいない。サイドを使ったり、中央を突くプレーや、ドリブルで仕掛けたり、ミドルシュートを狙ったり、後方から前線に飛び込むプレーなど、引いて守る相手の守備を混乱させる攻撃のバリエーションを身につけている選手は少ない。

 そのため、選手が自分たちで戦況を見きわめてプレーするというより、ハリルホジッチ監督に指示された通りの攻撃に終始してしまったという印象だ。そのこともまた、引いて守る格下相手にゴール数を増やせなかった要因だろう。

 また、もっとも不安を覚えたのは、いまの日本代表に「余裕」を感じられないことだ。

 6月のW杯2次予選のシンガポール戦でスコアレスドローに終わり、8月の東アジアカップでは最下位。このためカンボジア戦では、ハリルホジッチ監督が選手以上に大きなプレッシャーを背負っていたように映った。そして、監督の「これ以上は絶対に失敗できない」というメンタリティは、先発メンバーのリストにも表れていた。

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