6連勝で首位を快走するアントラーズ。その強さは「本物」か

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 6連勝を飾った第9節川崎フロンターレ戦でも、ボールポゼッションを高めた攻撃力を武器とする相手に対して、落ち着いた試合運びが目についた。石井監督は言う。

「川崎は中から攻めてくるので、外に追い込んでディフェンスしようと選手には伝えていた。自分たちの形で守備ができていたので、相手に攻められていても試合を支配して進めている実感はあった」

 結局、試合は2-0から1点を返されたものの、さらにダメを押しての3-1の勝利である。およそ5年ぶりとなる敵地・等々力での川崎戦勝利に、石井監督は「なかなか等々力では勝てなかったが、やっといい形で自分たちの戦いが表せた」と笑顔を見せた。

 見事にチームを立ち直らせた新指揮官について、その印象を「石井監督は選手に“やらせる”」と語る昌子は、こんなエピソードを明かした。

 第8節モンテディオ山形戦(3-0)でのことだ。前半、自分たちの守備が狙いどおりにハマっていないのを感じた昌子は、センターバックでコンビを組むDF植田直通と話し合い、4-4-2でスタートした布陣を4-2-3-1に変化させるよう他のチームメイトに伝えた。言わば、選手が勝手に戦術を変えたわけだ。

 だが、ハーフタイムに昌子がそう判断した理由を石井監督に伝えると、返ってきた答えは、「選手が(ピッチで起きていることを)感じてやっていけ」。

 昌子が語る。
「セレーゾ監督のときは外(ベンチ)からの指示を受けるだけで、僕ら選手から発信できていなかった」

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