福田正博が解説。「ゴール職人」佐藤寿人のすごさはどこにある? (3ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro

 そこで求められるのは、シュートが決まる確率の高い場所に味方のパスを引き出し、そのためのポジションを取ること。そして、寿人はそのプレーの質が非常に高い。

 ここで忘れてはいけないことは、ストライカーは、オフの時にどんなにいい動きをしても、パスが出てこなければ意味はないということ。寿人がペナルティエリア内で最大限に力を発揮できるのは、広島のチームメイトである青山敏弘やミキッチがパスを出しやすいタイミングで、DFラインの裏を狙って動き出すからであり、それはつまり、寿人がチームメイトの癖や特徴を把握しているということでもある。

 寿人は、自らが周囲に活かされるために何をすべきかをよく理解している。だからこそ、ホットラインを築くことができ、その結果として154ものゴールを決めてきたのだ。

 さらに、ビューティフルゴール、スーパーゴールが多いことも寿人のすごさといえる。今季の1stステージ開幕戦の甲府戦のゴールや、昨シーズンの川崎戦で見せたボレーシュートなど、観る人を魅了するゴールも実に多い。これは寿人のシュート技術の高さとシュートバリエーションの豊富さ、アイデアを非常にたくさん持っていることを表している。

 そして、何よりも大切なことは、移籍をしても、監督が替わっても、寿人が常に試合に出場して多くのプレー機会を手にしてきたということだ。つまり、10年以上の間、いつも健康体であったということだ。

 体と心のメンテナンスをしてコンディションを維持し、健康でいる。寿人のそうした姿勢は、若い選手たちのお手本だ。

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