10年前、「いつまで現役?」と聞かれたカズの答えとは

  • 渡辺達也●取材・文 text by Watanabe Tatsuya photo by FAR EAST PRESS/AFLO

「カズさん、なんで負けても遊びに行けるんですか?」と、チームメイトに聞かれたカズはこう答えた。

「次の試合がある。次が始まるから切り替えるんだよ。後ろを振り返ってもしょうがねえだろ」

 試合の結果に関わらず、ストレスを発散させて次の日から再び規則正しい生活に戻り、練習をして試合に臨む。プロとして当たり前のことを伝えたかった。祝勝会や残念会に行った翌日、京都の練習グラウンドには、先頭に立ってトレーニングに励むカズの姿があった。

 また、カズは京都の選手たちにこうも言っていた。

「一日、一日を大切にして100%の力を出してやらないとダメだぞ。今日ダメだったら明日はねえんだ」

 どんなにいい選手でも、練習や試合で手を抜き、身体の手入れをおろそかにしていると、選手寿命が短くなっていく。一日、一日を大切に過ごし、練習でも試合でも常に全力を出し切る。その積み重ねが長くプレーするために大事なこと。その信念が、48歳になってもカズが現役を続けていられる源になっている。

 2001年、京都はJ2に降格。34歳になったカズは戦力外通告を受けて神戸に移籍した。そこから4年間、神戸のキャプテンとしてチームを牽引する。

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