福田正博が提言「ハリルホジッチ監督にオススメのアジア対策」 (3ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Takahashi Manabu

 日本サッカーには、「W杯本大会の格上との戦い」と、格下や互角のチームと対戦する「W杯予選のアジアの戦い」という「ふたつの基準」に対応しなければならない「ダブルスタンダード」問題がある。

 そして、シンガポール戦は「アジアの戦い」の典型だった。その意味では、ハリルホジッチ監督はこの試合から、日本人のメンタリティとともに、「アジア勢相手特有の戦い方」が必要なことを学んだのではないだろうか。

 互いに攻め合う試合展開ならば、前線にスペースも生まれ、縦へのスピードを速めて攻撃を仕掛けて相手を崩せるが、ゴール前の守りを固めてくるだけのアジア勢の場合には、速攻をするためのスペースはない。そうした相手をどう崩してゴールを奪うのか。

 たとえば、ザッケローニ元監督はW杯アジア予選の初戦で北朝鮮に試合終了間際まで0-0のまま粘られたとき、アジア勢相手では抜群の高さが武器になるFWハーフナー・マイク(194cm)を起用した。そして、試合終了間際のCKで、相手DFがハーフナーを警戒したためマークが甘くなっていたDF吉田麻也(189cm)がヘディングシュートを決めて勝利した。

 しかし、今回のシンガポール戦メンバーには、高さを武器にするFWはいなかった。これはハリルホジッチ監督が縦に速いサッカーを標榜(ひょうぼう)していることに起因していると思うが、アジアでの戦いでは「高さ」が大きな武器になるのだから、豊田陽平のように高さが武器になるFWを、アジア対策として招集してもらいたい。W杯予選では、今後もシンガポール戦のような試合内容になることが十分ありうるからだ。

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