湘南・山田直輝の決断「浦和から出ることは悩まなかった」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text&photo by Asada Masaki

 移籍先に選んだ湘南については、「去年の夏に声をかけてもらって以来、気にして(湘南の)試合を見ていた」という。

「ケガをして実戦から離れてしまうと、練習だけでコンディションを上げるのには限界がある。でも、湘南は練習がハードだし、練習試合もたくさんやるという話を聞き、いろいろな人たちに相談したら、『曺(貴裁/チョウ・キジェ監督)さんの下でなら、試合に出ていても出ていなくても、実戦に近い形でサッカーができるし、コンディションも上げられるだろう』と。それで湘南に行きたいなと思いました」

 実際、山田は湘南に移籍してきて以来、連日厳しい練習で鍛えられる日々を送っている。

「僕は、常にチームで一番走れる選手になろうと思ってプレイしてきたし、それが自分の特徴でもあった。でも、湘南に来てみたら、自分より動ける選手が多くて、僕も自分のよさをもっともっと磨いていかないといけないなと感じています。このチームはみんなが走れる。だからこそ、走ることに加えて、何かプラスアルファで他の選手にはない自分の特徴を出さなければ、試合に出られない。簡単ではないですが、それを身につけられれば、また成長できると思います」

 もちろん、自分の中にあった「モヤモヤ」が、すぐに解消されるはずもない。「『以前だったら、もっとこうできたのに』とか、今でもちょっと引っかかっているところはある」と山田は胸の内を明かす。

 そんな言葉を裏づけるように、山田が湘南でこれまでに得た出場機会は、途中出場による2試合のみ。時間にして、トータルで30分あまりプレイしたに過ぎない(J1ファーストステージ第3節〈3月22日〉終了時点)。出場機会を求めての移籍だったはずだが、彼を取り巻く状況が一変したとは言い難い。

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