開幕2連勝。豊田陽平「鳥栖の強さは最後に出る」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 日刊スポーツ/アフロ●写真

 試合は局面での激しい攻防が続く中、鳥栖はそれを制する形で開幕戦を2-1の勝利で飾った。

「『ミラーゲーム(同じような布陣、戦術のチームどうしの試合)になる』とは言われていました。昨シーズンよりも縦への意識は徹底されていると思います。まずは裏へ蹴れ、という戦い方で」

 積極的に前線へ蹴り込まれたボールに対し、豊田は果敢にファイトした。まるで人柱になる覚悟を決めたようにボールキープし、あるいは隙を見つけてはゴール前へと持ち込み、どうもならなければ反則を誘った。実際、彼が決めたPKはディフェンダーを誘い込んで彼自身がファウルを取ったものだったし、2点目のFKも彼が競り合ってファウルになったプレイが起点だった。

「練習はユンさん(尹晶煥)の頃と比べても、(体力的に)めっちゃきついですね。違うのは素走りがほとんどなくなって、ボールを使ったトレーニングに切り替わったところでしょうか。4対4や3対2をダイレクト(のパスという決まり)でやるんですけど、切り替えや走りきるという部分を突き詰めていますね。その辺りは、試合になったときに必ず出てくると思います」

 Jリーグを席巻しつつあった鳥栖らしさは、今も生きている。

「鳥栖の強さは試合最後の10~15分に出ると思うんです。最後のところで、ぐんと走りに伸びが出てくるというか。それは特別なトレーニングというよりも、普段の練習の厳しさにあると思います。日頃からのひたむきさ、諦めない、という部分は僕らの原点。毎日の練習から真剣に挑むという振る舞いは、このチームに所属した以上、決して忘れてはいけないことです。それは鳥栖の伝統だと思うし、僕らは若い選手へと継承していかないといけません」

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