三冠監督・長谷川健太「最初はゾーンプレスさえ知らなかった」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 その後、長谷川監督は清水エスパルスの指揮官を6年間(2005年~2010年)務めた。タイトル獲得はならなかったものの、ナビスコカップで1度(2008年)、天皇杯では2度(2005年度、2010年度)準優勝に輝いた。そして2013年、ガンバ大阪の監督に就任して、1年目でJ2に降格したチームをJ1に昇格させ、2年目で三冠という快挙を成し遂げた。今や、アギーレ監督の解任直後には、次期・日本代表監督候補に真っ先に挙がるほどの存在となった。

 それでもなお、長谷川監督は貪欲だ。タイトル奪取への思いは強く、リーグ連覇はもちろん、ACL制覇にも並々ならぬ闘志を見せる。はや2連敗を喫して厳しい状況にあっても、まったく諦めてはいない。

「三冠を獲ったので、ACL制覇は今季の大きな目標です。ガンバとしては、かつて一度は手にしたタイトル。もう一度、(チームを)そのレベルに持っていきたい。最近、日本のクラブはACLで結果を出せていませんが、決して他国のチームに劣っているとは思わない。優勝できるかどうかは、紙一重だと思います。その中で今季は、ガンバが優勝して、FIFAクラブW杯に出場する。そんなワクワク感を思い描いているので、ぜひともACLのタイトルは獲りたいですね」

 ガンバの監督に就任した際、長谷川監督の目標は「強いガンバを取り戻す」だった。三冠を得た今、その目標は達成したと言えるのだろうか。

「強いガンバを取り戻す、その手応えは十分に感じています。でも、チームはまだ100%出し切った感がない。昨季、ようやくその芽が出てきたな、という感じじゃないですか。伸びしろはあるから、これからもっと強くなると思う。今季もできるだけ多くのタイトルを獲って、100%の完成形にしていかないといけない」

 あるトークショーで、長谷川監督は「将来的には日本代表監督をやりたい」という野心をのぞかせた。ガンバ再建を果たしたあとに目指すものは、すでに見えている。

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