福田正博が危惧する「今季の浦和レッズ唯一の弱点」とは?

  • photo by Yamazoe Toshio

■補強できていないポジションがある

 今シーズン、浦和は11人補強したが、私は、ボランチだけが補強できていないと思っている。たとえば、欧州のトップクラブでも、ブスケッツ(バルセロナ)やヤヤ・トゥーレ(マンチェスター・シティ)がいないと、チーム全体のパフォーマンスが落ちることが多い。それぐらい、このポジションの選手の出来が試合の展開を左右する。ペトロビッチサッカーにとっても、ボランチはとくに重要になる。

 もっともプレッシャーがかかる中盤で堂々とボールを受けられて、パスをさばけるボランチがいなければ、ペトロビッチ監督のサッカーは成立しない。その意味でここを補強していないことは大きな問題だ。

 先日のACL・水原三星戦では、浦和のボランチの青木拓矢が最終ラインまで引いてきてしまい、相手に押し込まれていた。ボランチが中盤の高い位置でボール受けることができず、最終ラインに下がってきてしまっては攻撃が機能しない。あるいは、高い位置でボールを受けても、後ろにしかパスが出せないのでは、相手に怖さを与えることはできなくなる。

 ボランチにプレッシャーがかかって、パスを受けられなくなった結果、DFラインまで引いてしまうことは「逃げ」でしかない。「縦パスを狙っているぞ」という姿勢を常に見せて、逆に相手にプレッシャーをかけられるかどうか。そこが勝負であり、それが実行できる技術と体力、判断力がボランチには求められる。

 今季、前線にズラタンと石原直樹を獲得したので、柏木陽介をボランチに下げることもあると思うが、私としては、もっと守備をタフに、ハードにできる選手が必要だと思っている。それは、青山敏弘(広島)やレオ・シルバ(新潟)のような選手だ。

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