日程のせいではない。日本がACLで勝てない決定的理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images Sports

「中国スーパーリーグは急浮上しているよ。この冬のオフに費やした補強費はリーグ全体で、9000万ユーロ(約121億円)近い。これほどのお金をかけられるリーグが世界にいくつある? 優秀な監督や選手を引き抜いてくることで、必ずレベルは上がる」

 グループGで浦和レッズと同組に入った北京国安のスペイン人指揮官、グレゴリオ・マンサーノはそう説明している。アトレティコ・マドリードなどを率いたマンサーノはかつて日本代表監督にも誘われたが、そのときサインしていない。その名将が北京国安を指揮し、2014年の最優秀監督賞を受賞している点だけでも、日本にとっては脅威だろう。

 ガンバを蹴散らした広州富力を率いるのも、リーガエスパニョーラのヘタフェで好成績を収めていたコスミン・コントラである。コントラ監督も好待遇に惹かれ、シーズン半ばにもかかわらず“転任”した。Jリーグ草創期がそうだったように、マネーパワーがマンパワーとなり、着実に実力となりつつある。

 この現象が起きているのは中国だけではない。カタール、サウジアラビア、UAEもオイルマネーで有力な人材を集められる(日本代表監督候補に名前が挙がっていたミカエル・ラウドルップが率いるのはカタールのレフウィヤSC)。オーストラリアもACL王者ウェスタン・シドニーが日本代表の高萩洋二郎を獲得するなど、Aリーグ全体が勃興の気配を見せる。そして最近はタイ、ベトナムなど東南アジア勢も市場が活発になっている。

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