札幌・バルバ監督が語る「スペインリーグ八百長の背景」 (2ページ目)

  • 木村元彦●文・写真 text & photo by Kimura Yukihiko

――第三者のチームに働きかけるということですね。それは公然とだったのでしょうか?

「それはオープンに話すことではなかった。噂レベルで『俺のチームは払った』という話は聞いたことがあります。だけど、その行為自体が八百長行為だとは見られていなかった。リーグの終盤にはよくありました」

――なるほど。今になって、スペインの取り締まる法律が変わったというのが大きいですね。

「まさにそうですね。スペインの問題というのは、各クラブが抱えている負債の額が半端ではなく大きいということ。だから、不正に流れるのかもしれないが、そういったケースをなくしていくためにも、法律を厳しくしていると思います」

――降格したら20億円がなくなるわけだから、それは必死になる。

「それが最低額ですから。私の現役時代にはあり得なかったことです。トップクラスのチームになると、放映権料だけで、その何倍ももらっている。レアル、バルサへの分配金は圧倒的に多い。その他のチームは分配額について、いつももめている。だから、この前イングランド・プレミアリーグの放映権料の件が話題になったじゃないですか。3年で9450億円以上とか、法外な金額です。八百長問題は、サッカーが巨大なビジネスになってしまったことと無関係ではない」

――それはオシムも言っていましたね。次にやはり、自身のチーム、コンサドーレのことを。稲本、小野(伸二)という日本代表でも実績のある選手たちを率いながら、札幌で何を成し遂げようと思っているのでしょうか。

「まず、この2人が私たちのチームにいることは、私も幸せに思っています。彼らみたいなキャリアを積んだ選手が、チームにいるということは非常に大きい。若手にとってもいい影響を及ぼします。同時に、彼らに必要以上にプレッシャーを背負わせたり、『2人がいるから何とかなる』という、安易な考えでは駄目だと。

 J2は非常に厳しいリーグで、ハードワークをしなければ、勝利をつかめない。J1とはクオリティーに差があるんですけれど、どのチームもしっかりと戦ってきます。もちろん2人の存在感は非常に大きなものですが、ピッチの中では全員が平等であるから、試合に出る選手はプレーで決めたいと思っています」

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