福田正博が語る「日本人FWの『決定力を育てる』方法」 (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

 私はこれまで数多くの外国人選手と一緒にプレーしてきたが、彼らのメンタリティは日本人のそれとは明らかに異なる。欧州や南米の選手は、監督から必要以上に「勝て」と言われなくても、勝つためにプレーをするし、「シュートを打て」と言われなくても積極的にチャレンジするメンタリティを持っている。

 言い換えれば、「シュートを打つな!」とでも言わなければ、何でもかんでもシュートを狙いにいってしまうような選手が外国人アタッカーには多い。それに対して日本人は、「シュートを打つな!」と監督に言われたら、パスばかり回してまったくシュートを打たなくなるだろう。

欧州リーグで経験を積み、シュートへの貪欲さが増した本田圭佑欧州リーグで経験を積み、シュートへの貪欲さが増した本田圭佑 つまり、多くの日本人FWのメンタリティは、外国人FWと比べると消極的で、ミスを恐れて安全策を選択しがちなのだ。ゴール前でチャンスがあっても、より確実に決めるためにパスを選択するので、指導者に「もっとシュートを打て!」と言われてやっと打つようなシーンが多い。

 このように、日本人選手の多くは指導者の言葉を素直に受け入れ、それに従う傾向が強い。そのため、指導者や監督に「勝てとは言わない。いいプレーをしよう」と言われたら、いいプレーをすることだけを考え、勝つことにこだわらなくなってしまう。

 価値観やメンタリティは、13歳でアメリカに渡ったテニスの錦織圭選手のように、子どものころから海外に出てトレーニングを積むことをしなければ、そう簡単に変わるものではない。

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