【高校サッカー選手権】流経大柏vs前橋育英はプロ注目の準決勝

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • 浦正弘●撮影 photo by Ura Masahiro

 対する日大藤沢は、準々決勝の静岡学園戦で相当な苦戦を強いられた。シュート数は、静岡学園の15本に対して、日大藤沢は6本。その数字を見ただけでも、かなりの劣勢だったことがわかる。それでも、GK鈴木孔明(すずき・こうめい/2年)を中心に粘り強い守備を見せて、2-1で勝利。その分、「これまでの試合と違って、すごい達成感がある」と、エースFWの田場ディエゴ(たば・でぃえご/3年)は興奮気味に語って喜びを爆発させた。

 しかしこのチームは、まだ万全な状態ではない。年末にチーム内でインフルエンザがまん延し、数人の主力選手が戦列を離れているのだ。

 実際、守備の要である小野寺健也(おのでら・けんや/2年)が、「ウチには、まだ"隠し玉"がいる」と漏らす。そしてそのうち、FW今井裕太(いまい・ゆうた/3年)が準々決勝で復帰。後半から出場すると、値千金の決勝ゴールを決めた。そんな今井の他、10日の準決勝までには主力選手のほとんどが復帰する見込みだという。

「(準決勝の)スタメンは決まっていない。『もう1回、メンバーを選考し直すぞ』と選手たちにも伝えてあります」と、佐藤輝勝監督も語る。準決勝では、これまでとはまた違う、一段とパワーアップした日大藤沢が見られるかもしれない。

 何はともあれ、攻撃陣に高い能力を備えた選手がそろう日大藤沢。その攻撃を星稜がどう封じ込めて、少ないチャンスを生かすか。それが、第1試合の見どころとなる。

 第2試合は、大会前から評判の高かった流経大柏と前橋育英が激突。ともに充実した戦力を擁し、激しい中盤での攻防が見られそうだ。が、互いにここまでの道のりは簡単なものではなかった。それぞれ、PK戦にもつれるほどの死闘を経て、何とか4強キップを手にした。

◆流経大柏
1回戦   3-3(PK8-7)作陽(岡山県)
2回戦   1-1(PK5-3)矢板中央(栃木県)
3回戦   1-0水橋(富山県)
準々決勝 3-0立正大淞南(島根県)

◆前橋育英
2回戦   1-0初芝橋本(和歌山県)
3回戦   1-1(PK6-5)山梨学院(山梨県)
準々決勝 4-0京都橘(京都府)

 流経大柏で注目すべきは、FC東京への入団が内定している左サイドバックの小川諒也(おがわ・りょうや/3年)。その左足から放たれるキックは強烈で、速くて大きく曲がるFKはまさに超高校級だ。準々決勝の立正大淞南戦でも、彼のFKのこぼれ球から先制点が生まれ、2点目も彼のFKが起点となった。

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