【高校サッカー選手権】注目は独自の武器を持つ4校 (3ページ目)

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 1年生のときからチームのエースナンバー「14」をつける鈴木は、判断力とポジショニングに優れたボランチ。片や、左サイドハーフに位置する渡辺は、ドリブルと裏への飛び出しが光る万能型のアタッカー。両足から放たれるミドルシュートも秀逸だ。ともに、昨年のU-17W杯(UAE大会)にも出場。日本の将来を担う選手として期待されている。

 チームとしての完成度も高く、誰もが労を惜しまずに走れるのは強み。今年は、伝統のポゼッションサッカーに、鋭いカウンターという武器も加わって、一層勝負強さが増した。状況に合わせたサッカーができるのも売りで、勢いに乗れば、悲願の初優勝も見えてくる。

 雌伏(しふく)のときを経て、7年ぶりの全国制覇を狙う流経大柏(千葉県)の実力も相当なものだ。

 夏までは、安定した成績を残せず、高校総体出場もかなわなかった。ところが、秋になってからチームを大改造。スタメンの顔ぶれや選手のポジションを大幅に変更したことで、攻守の安定感が増して、結果を残せるようになった。『プレミアリーグEAST』では6位という成績を残して、「東の雄」青森山田(7位)を上回った。

 チームの顔は、FC東京入りが内定しているMF小川諒也(おがわ・りょうや/3年)。彼を中心とした攻撃は、大きな武器のひとつ。しかし流経大柏には、それ以上のストロングポイントがある。高いディフェンス力だ。2ボランチの浅沼拓己(あさぬま・たくみ/3年)と澤田篤樹(さわだ・あつき/3年)が第一の防波堤となり、最終ラインの廣瀧直矢(ひろたき・なおや/3年)が相手攻撃を封鎖する。

 とりわけ、上位進出のためには、廣瀧にかかる期待が大きい。というのも、抜群の統率力を誇る彼が先発に定着するようになってから、チーム再建が一気に進んだからだ。彼の活躍次第で、チームの行方が決まると言っても過言ではないだろう。

 これら4校の他にも、最終ラインからでもドリブル突破を試みる聖和学園(宮城県)や、アイデアとテクニックで敵を翻弄する静岡学園(静岡県)、元名古屋グランパスの岡山哲也監督が率いる中京大中京(愛知県)など、独自のスタイルを持ち、侮れない存在はいる。が、これらはあくまでも有力校。繰り返しになるが、「絶対王者」と言えるほどの突出したチームはない。今大会も、誰もが想像しえなかった奇跡と感動の“ドラマ”が、数多く見られるのではないだろうか。

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