磐田・名波浩監督が激白「リアクションサッカーはしない」

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

――試合後の名波さんの様子からして、もしかしたら山形戦の映像は見ていないのかと思ったのですが、意外とすぐにご覧になっていたんですね。

名波 そう、スタッフと一緒にね。「ここは、ああだよね。こうだよな」って言いながら。普段は自分ひとりで(家で)見るんだけど、あの試合はクラブハウスで、あえてみんなで見た。そのあとは、コンビニで1.5リットルのコーラを2本買って、家に帰ってからガブ飲みして、ふて寝した(笑)。3時間くらい寝たかな。それで、起きたら、夜中の12時くらいだったんだけど、逆に今度は眠れなくなっちゃって。試合のことを考えると、ほんとイライラするし、最悪だったよ(笑)。

――話が遡(さかのぼ)りますけど、そもそもシーズン途中の厳しい状況の中で、よく監督を引き受けましたね。

名波 悩む時間が少し必要だったけれども、自分が一番「(監督を)やりたい」って言っていたチームからオファーが来たわけだから。

――「今さら......」という思いはなかったですか。

名波 それはないよ。ずっと(オファーを)待っていたから。確かに、何度か自分が監督になるっていう噂が上がって、実際にそういうタイミングもあったと思うから、嫁さんとワクワクしながら(ジュビロからの)連絡を待っていた覚えはある。ところが、いつまで待っても連絡が来なくて、結局実現しなかった。その度に、相当へこんだよ(笑)。そこから今季、残り9試合という状況でやっと(オファーが)来た。

――おっしゃるように、監督に就任されたのは、残り10試合を切っていました。第33節(9月23日)終了時点で、2位の松本とは勝ち点8差がありました。実際のところ、松本を逆転して自動昇格圏内の2位になれる、という自信というか、その可能性はあると思っていましたか。

名波(監督に就任して)最初の4試合をたとえ全敗したとしても、残り5試合で右肩上がりになれば、「(2位は)行ける」という思いはあった。でも、逆になっちゃったんだよね。監督就任初戦の愛媛FC戦で快勝(2-0)したでしょ。あれで、メディアとかが盛り上がって、周囲が「名波が監督になって(チームが)変わった」「やっぱり、名波は持ってるな」というムードになってしまった。あれがよくなかったな、と。正直、勝たなくてもいいな、と思っていたぐらい。だって、2日間しか練習してなくて、何も変わっていなかったんだから。それなのに勝っちゃって、クラブも、選手も、周りの雰囲気に流されて、勘違いしてしまった部分があったかもしれない。

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