福田正博からレッズへの提言。「悪役になる覚悟を持て」 (2ページ目)

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 ガンバ戦では優勝を望むサポーターがスタンドを埋めて、スタジアムが異様な雰囲気になったこともあって、選手たちがホームで優勝を決めようとしたのだと思う。その気負いが、悪い方向に影響してしまったといえる。その結果、精神的なアドバンテージも失くしてしまった。また、その後の2試合も、ガンバ戦に敗れて勝ち点差が5から2へと減ったことで選手たちが浮き足立ってしまった面もあるだろう。

 今シーズンの浦和は、忍耐強く戦うことで夏場から首位の座を守ってきた。0−0の試合展開でも、DFラインの槙野智章や森脇良太は焦って攻め上がったりせず、しっかり守備を固めてバランスを崩さなかった。たしかに試合内容はいまひとつの試合もあったが、我慢して勝利を手にして勝ち点を積み上げてきた。

 また、チーム全員のオフザボールの動きが質、量ともに向上したことで、多くの試合で主導権を握ることができた。それがシーズンの大半を首位でいることができた要因だったが、最後の3試合では自分たちの持ち味を発揮できていなかった。

 その理由のひとつとして、FW興梠慎三の故障欠場があげられる。興梠が先発からいなくなったことで、前線でボールが収まらなくなり、浦和のサッカーが機能しなくなった。

 それでも今季の浦和は、ペトロビッチ監督のもと、3年間同じやり方のサッカーをしてきた成果を出した。1、2年目は監督が目指す形を身につけることに追われ、相手に対策を講じられると何もできなくなるシーンもあったが、継続して組織として成熟してきたことで、さまざまな局面に対応できるようになった。

 またチームが、華やかとまではいかないが、ペトロビッチ監督の意向に沿った堅実な補強をしたことで、選手層に厚みが増したことも大きかった。

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