増えたJリーガー。トライアウトの意味にも変化が

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 兼子愼一郎●写真 photo by Kaneko Shinichiro

 12月3日、「2014JPFAトライアウト」の第一回がフクダ電子アリーナ(千葉県)で開催された。

 2002年から始まったこのトライアウトは、選手が契約を目指してアピールする場である。戦力外通告を受けた選手の「敗者復活戦」のようにも位置づけられる。一部の選手はそうした扱いをプライドが許さず、過去には名のある選手が辞退するケースも少なくなかった。ファンは会場には入れず、関係者だけなのも選手の心中を思いやってのことだろう。

 しかし戦いを続けようとすることは何ら恥じることではない。サッカー選手は査定の不可解さで、契約満了の状況に追い込まれる場合もある。例えば今回も、シーズン2000分間出場しながら、契約満了になっている選手も少なくなかった。他にもポジションの重複や年齢、チーム予算など、プロスポーツ界は理不尽な社会の縮図とも言える。それぞれの選手にそれぞれの事情があるはずだった。

説明を受けるトライアウト参加者たち説明を受けるトライアウト参加者たち「今シーズンはケガをして出遅れてしまって、治ってまたケガする、みたいな連続で」

 そう語ったのは、J3からJ2に昇格したツェーゲン金沢で、22歳にして主将にも任命されたMF越智亮介だった。契約した代理人と共闘し、塞がれた道を迂回してでも突破するつもりでやって来ていた。

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