レッズはなぜ首位陥落することになったのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images Sports

 ちなみに鳥栖のMFである水沼宏太は戦局をこう分析している。

「(鳥栖は)10人になったけど、とにかく放り込んじゃえばいけるかな、という手応えがありました。終盤は谷君(谷口博之)を入れて、トヨ君(豊田陽平)のマークも甘くなるかなと。鳥栖の方がセカンドボールを拾えていましたからね。勝てた試合だったと思うので、残念です」

 浦和は最近の6戦で、負けを含め、勝ちきれない試合が5度目。首位陥落は当然の帰結だった。チームマネジメントは敗因の一端でしかないだろう。ディテールの理由は無数にある。しかし優勝という栄光をつかむチームというのは、こつこつと勝ち点を積み重ね、また取るべき星を落とさないというしぶとさを備えているものだ。

――最終節に向けては?

 報道陣の質問に対し、浦和の槙野智章は絞り出すような口調で言った。

「今年やってきたことを最後までやり通すしかない。最後まで何が起こるか分かりませんから」

 追う立場になって、完全に不利な形勢になった浦和だが、無心で戦うことができたら、追い込まれる立場になるのはガンバ大阪の方になる……フットボールは心の動きがドラマを演出する。

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