首位決戦へ高まる闘志。レッズ李忠成「ミシャを男にしたい」

  • 河野正●文 text by Kawano Tadashi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 李は、2011年のアジアカップで日本代表に初選出されると、オーストラリアとの決勝では、延長後半に左足で鮮やかな決勝点を記録。日本の4度目の優勝に貢献した。

 FC東京、柏レイソル、サンフレッチェ、サウサンプトンと4つのクラブに在籍中も、勝てばタイトルを獲得できるという試合に挑んだ経験が、李には2度ある。

 最初がレイソルの一員として臨んだ2008年度の天皇杯決勝戦(2009年1月1日)。後半13分から出場した李はシュート1本と、切り札にはなれず、延長戦にもつれ込んだガンバとの激闘に0-1で敗れた。

 2度目がサンフレッチェ時代の2010年、ジュビロ磐田と決勝を争ったナビスコカップ。120分フル出場した李は、前半43分に同点ゴールを決めたが、この試合も延長の末、3-5で負けた。

 こうした2度の屈辱を胸に秘め、3度目の挑戦に闘志をたぎらせる李。タイトルへの意欲はもちろん、今回はクラブと恩師への恩返しという意識も高い。

「日本のサッカーを盛り上げるためにも、やっぱりレッズというクラブは優勝しないといけない。イングランドから日本に帰って来て、改めてそう感じた。そういう、やりがいのあるチームに誘ってもらって、結果を出すことの意義はよく理解している。それに、ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の愛称)はまだ何のタイトルも取っていないから、優勝させたい、男にしたい、という思いが強い」

 レッズでの李は、3-4-2-1のシャドーと1トップを如才なくこなし、今季はここまで、公式戦41試合に出場して、計10得点をマーク(リーグ戦は6得点)。エース格でチーム得点王(リーグ戦は12得点)のFW興梠慎三が、第30節(10月26日)の鹿島アントラーズ戦で右ヒ骨を骨折したため、前節から李が1トップを務めている。

 その分、李にかかる期待は一層高まっている。ガンバ戦では勝利を決める一発が求められるが、李自身はガンバの守備網をどうやってこじ開けようと考えているのか。

「組織うんぬんというより、最後の局面は個人の力にかかってくるので、自分が相手のセンターバックと対峙したときに負けないことがカギになる。(マーカーを)抜けるかどうか、そこが勝負かな」

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