【ブラインドサッカー】世界選手権が開幕!目指すは「ベスト4」 (2ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 日本がロンドンパラリンピック出場切符を逃した後の2012年に代表監督に就任した魚住稿氏は、「堅守速攻」をテーマに掲げ、2度のフランス遠征や強豪国を招いた親善試合で組織的なディフェンスを徹底して磨いてきた。

 10月の仁川アジアパラ競技大会(韓国)では、優勝したイランに2点を許したものの、強豪・中国を含む他国を無失点に抑え、銀メダルを獲得。「国際大会ではずっと苦しんできたから、選手たちはやってきたことが間違っていなかったという手応えが欲しかったはず。メダルという結果は自信になった」と魚住監督は振り返った。

 圧倒的なシュート力がない日本が、ゴールを量産するのは難しい。それは、ブラインドサッカーでも同じだ。だから、日本人の特性である粘り強さやひたむきさを生かし、守備で耐えしのいで虎視眈々とゴールを狙うディフェンシブなチームにしようと魚住監督は考えた。とくに、後ろの3人のラインのバランス、晴眼者であるゴールキーパーとの連携強化に力を注ぎ、着実にそのスキルを高めてきた。

 そしてアジアパラで、まさに魚住監督が期待する、献身的な守備で活躍したのがMFの加藤健人だ。高校時代に目の病気を発症した後、ブラインドサッカーを始めた。チームで2番目に若い29歳だが、代表歴は7年で、攻守に渡る主軸として頼もしい存在になりつつある。

「以前は強豪相手だと知らぬ間に相手に抜かれていたが、8月のフランス遠征やアジアパラでは、ドリブルの巧い選手の動きも『見えた』というか、怖さを感じなくなった。ブラインドサッカーは、イメージの共有がうまくいかないと難しいし、ほかの選手と動きが重なったり、自分だけが少しでも出遅れたりすると失点につながる。緻密(ちみつ)なディフェンスの動きは、距離感やポジショニングをつかむまでに時間がかかったが、自分なりに手応えを得られている」と加藤は守備面での成長を口にする。

「自国開催の世界選手権だから、いい結果を残したい。でも、目指すのはあくまでもリオパラリンピック出場。その予選につなげるための(内容ある)大会に必ずしたい」と話し、その先も見据えて戦うつもりだ。

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