世界的偉業!? 大宮、10年連続のギリギリ残留なるか (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 例年、土壇場になってから力を発揮して、おおよそ残留を確定させるのは、第30節を超えてから。最終節まで引っ張ることは少ないが(2007年の1回だけ。それもアルディージャのすごさか......)、第32、33節で決まることがほとんど。順位を見れば一目瞭然で、2005年=13位、2006年=12位、2007年=15位、2008年=12位、2009年=13位、2010年=12位、2011年=13位、2012年=13位、2013年=14位と、まさしくギリギリの残留、いわば「ギリ残」のスペシャリストなのである。

 開幕から10戦無敗の快進撃を見せて首位に立った昨シーズンにしても、躍進の立役者であるベルデニック監督を更迭してから急降下。結局、残留争いに加わる始末で、14位という「ギリ残」の順位でシーズンを終えた。

 そんなアルディージャも、今季はさすがにJ2に降格するのではないか、と見られていた。というのも、第12節(5月6日)のFC東京戦で勝利したのを最後に、10戦勝ち星なしという状態が続いて、第13節以降はずっと17位に低迷。およそシーズンの3分の2となる第22節(8月30日)を終えて、最下位ヴォルティス(勝ち点12)と同じ勝ち星(3勝)しか挙げられず、勝ち点16にとどまっていたからだ。

 そのペースのままなら、残り12試合で2勝、よくても3勝といったところ。残留のボーダーラインと想定される、勝ち点37、38にはとても届かないと思われた。ゆえに、日頃アルディージャを取材する記者やファンでさえも、「今年は(J1残留は)厳しいかも......」と漏らしていた。

 それが、10戦勝ち星なしという結果を受けて大熊清監督を解任し、渋谷洋樹コーチを指揮官に昇格させると、状況が一変した。日本代表の親善試合による中断明けの第23節(9月13日)では、上位争いを演じる鹿島アントラーズに勝利(2-1)。そこから第28節まで5勝1敗と、一気に勝ち点15を積み上げて、またしても今季「ギリ残」へと帳尻を合わせ始めているのだ。

 この勢いが続けば、アルディージャは10年連続残留争いを経験しながら、10年連続して残留を果たすことになる。決して喜ばしいことではないかもしれないが、ここまでくると、ある種の"偉業"と言ってもおかしくない。

 アルビレックス新潟も、2004年にJ1昇格後、何度となく残留争いに加わりながらJ2に降格しないでいるが、常に「ギリ残」ではない。6位(2007年)や7位(2013年)といった好成績を残すこともあり、3シーズン連続で残留争いに加わるようなことはなかった。

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