鹿島・小笠原満男が知っている「2007年を再現する方法」 (2ページ目)

  • 小室 功●文 text by Komuro Isao
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「今季は、ナビスコカップも、天皇杯も負けてしまったので、残るタイトルはJリーグしかない。こういう状況にしてしまったのは、自分たちの責任。鹿島を応援してくれる人たちのためにも(リーグ戦では)勝ち続けなければいけない。みんなで力を合わせて勝ち続けよう」

 鹿島は、Jクラブの中で最多の優勝回数(リーグ7回、ナビスコカップ5回、天皇杯4回)を誇り、どこよりも歓喜に酔いしれている。だがその裏では、不甲斐ない敗戦を繰り返し、それを巻き返しの原動力に変えてきた。そんな歴史が鹿島にはある。反発力、反骨心と表されるそのエネルギーが、このとき再び燃え上がった。

 結果、ソニー仙台FC戦以降、リーグ戦では7勝4分け2敗と、優勝争いに後れをとることなく、第27節(10月5日)終了時点で3位(勝ち点49)につけている。首位・浦和レッズ(勝ち点56)との勝ち点差は7。残り7試合での逆転優勝は、十分に射程圏内にある。

「追いかける側の自分らにできるのは、まず目の前の試合に向けていい準備をすること。それが終わったら、また次の試合。そうやって、ひとつひとつ勝っていくだけ」

 幾度となく修羅場をくぐり抜けてきただけあって、相変わらず泰然自若の小笠原。必要以上に見えを張ることもなければ、憂うこともない。

 逆転優勝へ向けて、チームの課題についてはどう見ているのだろうか。

「ちょっとしたことの積み重ねが大事。(試合ではボールを持った相手に)このくらい寄せておけばいいかな、とか、そういう感覚じゃなく、後ろの選手が守りやすいようにもう一歩、二歩、間合いを詰めてあげないと。ラスト5分とか10分とか、本当に苦しい時間帯になったとき、どこまで粘れるか。その辺がまだまだ物足りないというか、脆(もろ)いところがあるから、もっと改善していければ、と思う。いつも圧倒して勝ちたいけれど、簡単に勝てる試合などない。"ここ"という勝負どころを逃さないようにしないといけない」

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