浦和・柏木陽介の覚悟「3年も同じ失敗はできない」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 それでも、柏木は気負った様子を見せず、あくまで冷静に口を開く。

「とにかく、目の前の一試合、一試合を大事に戦うこと。連敗は絶対にダメ。勝ち点1でも稼ぐというのが、(優勝への)絶対条件になってくる。鹿島、ガンバとは直接対決があるから、そこでしっかりと最低でも引き分けで終わることがたぶん優勝につながると思う。でも、だからといって、(引き分け狙いで)控えめにいくのではなく、あくまでも自分たちのよさを出して自分たちのサッカーをしないと。(優勝が近づいている状況を)プレッシャーに感じず、周ちゃん(広島で2連覇を経験しているGK西川周作)も『楽しもう』ってよく言っているけど、この状況でもサッカーを楽しむことが一番大事なんかなと思う」

 浦和は昨季もシーズン終盤まで優勝を争いながら、最後に大失速。さらに遡(さかのぼ)れば、2007年にはあと1勝すればいい、という状況までこぎつけながら、最後の最後で優勝を逃した苦い思い出がある。

 しかし今季、ついに浦和は負の記憶を払しょくする絶好のチャンスを迎えている。柏木が語る。

「やっと今年、自分たちがそういう(過去の歴史の)部分も乗り越えられると思っている。気持ちの面でも成長しているし、自分自身、(浦和に移籍して優勝争いに加わって)3年も同じ失敗はできないから」

 そして、柏木は力強い言葉で締めくくった。

「自分たちが今できていることをやり続けられれば、負けへんと思う」

 目指すゴールはもう目前。柏木ばかりでなく、浦和の選手すべての視界に、恐らく悲願のJ1制覇が捉えられているはずである。

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